■座禅を始めて③

私と曹洞宗のかかわりについて触れてみたいと思います。
30年ほど前の夏に、アメリカ在住の姉夫婦(夫は米国人)が来熊した折に、夫のアーサーが菊池市の山奥にある曹洞宗・聖護寺で1週間の泊まり込み座禅修行をするとのことになりました。聖護寺は外国人の体験修行者が多いところで有名な寺であることを、その時に初めて知りました。
その時に、私が聖護寺まで車で彼を連れて行きました。住職からのススメもあり、私も修行者と一緒に座禅を組み、その後に食事をする経験を初めてしました。座禅について本や写真で見たことはありましたが、これが座禅の初体験でした。
そして1週間後に迎えに行く予定でしたが、1泊しただけで蚊に刺されたりと耐え切れなくなり、「帰りたい」との電話連絡あり。時間を決めて麓で待ち合わせをしたのですが、彼が勝手に動き回り行方不明となり、大騒動したことを覚えています。

聖護寺

大慈禅寺
そして24年前に会社を辞めて間もなく、頭の中を整理するために初めて曹洞宗・大慈禅寺を訪問しました。弟子の方に「新たなスタートを切るにあたって、ご住職に教えを乞いたい。」と伝えると、部屋に通されて緊張しながら暫く待ちました。その時の部屋の掛け軸が「直心是道場」だったことを今でも鮮明に覚えています。
暫くして、ご住職・上月月照和尚が姿を見せて、別室に案内され二人での対話をしました。1時間半ほど私の詰まらない話を、親身になって聞いて、自らの経験を含めていろいろなご教示をいただきました。また私の住んでいる高平に同じ曹洞宗・浄国寺があり、「必要であれば中山住職を紹介しますよ。」との話もいただいたことも覚えています。
あとで聞いた話では大慈禅寺は曹洞宗・九州総本山で、月照和尚は曹洞宗のNO.2で、位の高い方だったようです。今でも心から感謝しています。
「直心是道場」とは、維摩経というお経の中で登場する禅の言葉で、分かりやすく説明すると、「素直な心(直心)を持っていれば、どこでも学ぶ場(道場)になる。」ということだそうです。それ以来、私の非常に好きな言葉になりました。
9年前に大病をしたあと、社会復帰にあたり再度、月照和尚が健在であればお話をしたいと、大慈禅寺を訪問しました。
月照和尚は既に引退されたとのことで、弟子の方に経緯を話し「上月和尚の書をいただくことができますか。」と申し出をしたところ、残された書数十枚を見せていただきました。その中から「直心是道場」を探したのですが見当たらず、書の意味合いを教えてもらいながら、最終的に「〇万法帰一」の書をいただきました。
「万法帰一」とは、「天地万物のすべては唯一絶対の根源的真理に帰入することをいい、また森羅万象の一切はそれぞれに根源としての真理の道理が貫かれている」ということだそうです。
掛け軸屋に表装してもらい、それ以来、床の間に飾っています。
そして昨年末に曹洞宗・浄国寺で座禅をすることになりましたが、一つ一つのご縁がここに至っていることを改めて実感しているところです。
感謝!
     
浄国寺      中山住職     座禅堂