■最近、思うこと②

国家の自国中心主義化&国内2分化(2極化)

このところ全世界で顕在化していることに大量の難民排出問題がある。難民の大量出現により、難民受け入れに対して寛容だった国も不寛容にならざるを得なくなってきている。多くの国民が支配層の既得権益を守る施策(富裕層や大企業優遇施策)に失望して政治不信に陥っていることもあり、未来社会の先行きに対する国民の不満・不安が政治不信を助長している。そのような中で不満層は「今の政治を抜本的に変えれば、今よりましになる」「自分たちさえよければ、他はどうでもいい」というような考え方になり、結果としてポピュリズムの政治を望むようになっている。 
 
全世界でポピュリズム的な主張が多くなり国内世論も右傾化/左傾化し、選挙の結果も2極化しながら自国中心主義に走る国々が増えている。

最も顕著なのが米国であり、事例として米国を採り上げたい。
その象徴であるトランプ大統領の決め台詞が「Make America Great Again」で、いつの間にか頭にこびりついてしまった感がある。
2年前の米国・トランプ大統領の誕生に至るまでに、トランプがやってきた「共和党大統領候補選挙から米国大統領選挙」まで全ての選挙戦では、一貫して単なる中傷合戦に止まらず、勝手な嘘を交えた相手の人格否定や裏でツイッターなどSNSを悪用した選挙戦術なども明らかになりうんざりさせられた。
そして、あたかもラストベルト地帯の白人労働者の味方であるかのごとく強調して製造業の国内回帰を推進しているが、実際は「ファミリー」と「軍関係者」「金持ち経営者」でホワイトハウスを占拠して、オバマ政権施策を全否定するような施策を次から次に打ち出している。まさに米国中心主義ではなくトランプの自己中心主義で政治が行われており、「企業への介入」「司法への介入」「マスメディアへの介入」など、民主主義を否定するようなことも平気で行っている。

民主主義の社会秩序の中で機能していた社会が、トランプ大統領になってから急速に壊れ始めている。メキシコに壁をつくる、移民制度を見直すなどのほか、白人至上主義、人種差別、女性差別、銃規制反対などトランプの本音が見える中で、国民全体のことよりも自分の支持者層のための政治を行い、後戻りのできない国家の分断を招いている。KKKなどの白人至上主義者は隠れて活動をしていたが、今では公然と活動を行いその勢力が拡大してきている。
共和党内で右派勢力が増す一方で、民主党内でもクリントンと大統領候補選を争ったサンダース候補に共感する若者を中心とするリベラル左派集団も急増しており、いわゆる国民の分断、2極化が進み始めている。
今でもロシア疑惑や女性蔑視、白人至上主義など、移民政策で活性化してきた自由の国・アメリカを否定するようなことをツイッターで発信して支持者には喝采を浴びたりしている。とても大国を代表する(束ね)大統領としての振る舞いとは思えないように感じざるを得ない。オバマ時代の政府施策を全否定し、国民の不安感を煽り、今までの支配層がいかにアメリカをダメにしたか嘘を交えて吹聴し、新政権が「偉大なるアメリカの復活」の社会変革を起こすことを自信満々に話す。下院選挙で敗北したことなど、そうならなかったことについては、他者への責任転嫁をすることで、自分の責任ではないような伏線をいつも準備している。  
もしかしたら安倍一強の日本政治状況も、似たような側面が見え隠れし始めているようにも感じる。