■未来社会への視点/オムロン創業者・立石一真氏から学ぶF

 我々が生きている現在は「最適化社会」であり、「最適化社会は工業社会と自律社会の橋渡し期間」と
位置づけられている。(「工業社会」は、手工業社会+工業化社会+機械化社会+自動化社会+情報化社会を総称する概念)
それぞれの社会は、一つ一つが分断化されて存在するのではなく、いくつもの社会的要素が混在しながら推移していくと考えたほうが理解しやすい。
ここでSINIC理論を踏まえて、我々の過去・現在・未来である情報化社会、最適化社会、自立化社会について整理しておく。
情報化社会(1975〜2004年):サイバネーション革命
前述の通り、情報化社会は工業社会の最終段階である。工業化社会では生産者視点を重視すればよかったが、最適化社会においては生活者視点を重視する時代となっている。表現を変えると、物質的な豊かさ(効率性や生産性)を求めることから、精神的豊かさ(喜びや人間性)を求める時代に変化していることになる。技術的には電子制御技術から生体制御技術が発展する時代。

最適化社会(2005〜2024年): バイオネーション革命

現在の社会・最適化社会は、工業社会と自律社会の橋渡し期間と位置づけられるが、時代の端境期として破壊と創造が交錯する20年になる。今からは「商品を売る時代」から「課題を解決する時代」となっていき、中央集権から地方分権へ、環境・安心・安全・健康が重視される時代に向かって動いている。「工業社会の価値観」と「自律社会の価値観」がぶつかり合い、葛藤しながらバランスを取って、自律の為の最適な状態がつくりだされていく。従来の産業分類的な企業のあり方ではなく、新たな分類に向かって企業連携が大切になっていくと想定される。個人と社会、人と自然、人と機械が最適なバランスを保ちながら融合していき、一人一人が喜びを追求する社会、即ち「ソーシャルニーズ・オリエンテッドな社会」が構築されていくまでのプロセスの時代となる。技術的には生体制御技術から精神生体技術が発展する時代。

自律化社会(2025〜2033年):サイコネーション革命
自立化社会においては、知識産業から智慧産業へとシフトしていく。個人個人が自ら考え、自ら望む人生を歩むような社会となり、個人個人の自律化(自己選択、自己決断・自己責任)も求められるようになる。自分らしく生きるオンリーワンを目指す社会となり、社会からの束縛を受けずに、自分の決めた規則に従って生きるようになる。また現在の「機械に人が合わせる」(フィードバック)時代から「人に機械が合わせる」(フィードフォワード)時代へシフトしていく。経営の自律、事業の自律、個人の自律が尊重されるが、ある意味では個人に厳しさも求められる時代となる。精神生体技術から
超心理技術が発展する時代。

 今年のカンブリア宮殿に、「血圧計だけじゃない!技術で人を幸せに…“元祖ベンチャー企業”の感動経営」というテーマで、オムロンが取り上げられた時の、村上龍のコメントを紹介しておきたい。
永遠のベンチャー精神 
イノベーション
官民を問わず、成長戦略が語られるとき、必ず繰り返される言葉だ。
オムロンの創業者である立石一真氏のことを知るまで、イノベーションというのは、単なる「技術革新」だと思っていた。
真のイノベーションとは、科学的発見と技術革新、そして社会の変化が一体となって起こること、一真氏はそう見抜いていた。
偉大な創業者は、技術、哲学、そして人材を後生に残す。
だが、後継者たちが、それを守るのは簡単ではない。「創業の魂を取り戻す」と山田さんは言う。会社が巨大化し、よりグローバルになっても、ベンチャー企業であり続けるということだろう。
挑戦者の気概を、常に持ち続けるということだ。

 今から44年前に、地球規模での未来社会を予測し、オムロンの「経営の羅針盤」として掲げているような企業の創業者が、熊本で生まれた人であることを、嬉しく、また誇らしく思っている。