■屋久島訪問@ 屋久島と屋久杉

  3月末に家内と二人で、念願の屋久島旅行に行ってきた。
大した事前調査なしで、2泊3日のツアーの一員で訪問をしたわけだが、思っていた以上に多くの刺激を受けることができ、感動の多い旅となった。
今回のツアーでは、2日目が「縄文杉トレッキング・ツアー」と「屋久島周遊観光コース」の2コースに分かれていた。前者はホテルを午前5時出発し午後7時過ぎにホテルに戻るというような、相当体力のいる14時間コースだったので、後者の午前9時にホテルを出発し午後5時にホテルに戻る8時間のツアーを選択した。屋久杉として最も有名な縄文杉を見ることはできなかったが、原生林の中の弥生杉や、ヤクスギランドの上にある紀元杉など多くの屋久杉を見ることができ、心から満足できるツアーであった。縄文杉コースに行った人たちの話を聞いたが、結構ハードなコースで、大変だったような話でもあった。


屋久杉と秋田杉


宮之浦岳
 
 屋久島は、およそ1550万年前に、マグマが冷えて固まり、その後隆起して誕生した花崗岩の塊の島で、海岸べりに少しだけ堆積岩地帯がある痩せた土地の島とのこと。水温の高い黒潮から生まれる水蒸気が高い山にぶつかり多くの雨を降らす環境ではあるが、この痩せた島だからこそ杉の成長も遅く、目の細かい長持ちのする屋久杉ができるようである。
宮之浦にある歴史民俗資料館の入口に、同じくらいの大きさの屋久杉と秋田杉が飾ってあり、屋久杉は樹齢1500年、秋田杉は樹齢300年くらいだったので、5〜10倍の年月差が、年輪の密度や樹脂の含み方の差となることを肌で理解できた。江戸時代から、屋久杉が長持ちする建材として高く評価され、また長年の間、自然の中で放置されている土埋木でも、腐りにくいために表面を削るだけで木工加工品にできることなど、同じ杉であっても屋久杉の質的な価値感を心から納得した。
なお屋久杉とは、屋久島に棲息する杉が全て屋久杉ではなく、標高500メートル以上に生息する樹齢1000年以上の杉を屋久杉と呼ぶと、ガイドに教えてもらった。

 屋久島には、標高1936メートルの宮之浦岳がそびえており、宮之浦岳は九州で一番高い山だそうである。海岸付近は平均気温が20℃くらいあり、永田地区の浜はアカウミガメの産卵地でもあり、また珊瑚の海では熱帯魚も泳いでいる一方で、宮之浦岳は北海道と同じくらいの気候だそうだ。あたかも九州の南端から北海道までの日本列島を、縦方向(高さ方向)に凝縮したような島であり、夢とロマンに満ち溢れたイメージを感じた。
ツアーバスのガイドさんは、関西出身の人だったが、大好きな屋久島に居着いたそうで、同様に移住してくる人も少しはいるようである。一方で、昔は人口も2万人ほどいたが、若者が島に残って仕事につくことが難しいこともあり、現在は高齢化も進み1万4千人を割るようになっている。
屋久島のことを、「人が2万人、猿が2万匹、鹿が2万頭住む島」とPRしていたようであるが、人だけは減少しているようで、更なる観光産業の活性化が望まれる。

垂直分布

ウミガメ産卵

珊瑚と熱帯魚

鹿