■ソーシャルメディア・マーケッティングB

 
 昨年の12月の日経新聞「私の履歴書」は、フィリップ・コトラーが取り上げられた。当然、日本の新聞への寄稿なので、日本を意識した形で書かれているので、身近に感じることも多く記載されている。
前回も伝えてように、マーケッティングの権威であるコトラーが言っている中で、ソーシャルメディアの出現により、マーケッティングも大きく変わるタイミングに来ていると考えており、「マーケッティング3.0」とか、「ソーシャルメディア・マーケッティング」と言う言葉が強く意識され始めている。
P.F・ドラッカーが「企業の目的は顧客の創造である。マーケッティングとイノベーションだけが成果をもたらす。」と述べているが、今回のシリーズ掲載の中で、大先輩ドラッカーとの出会いがコトラーの考えに大きく影響している場面もあり、興味を持って読み進めていった。

 出だしは「マーケッティングとは」から始まっている。
マーケッティングは「業績向上と顧客の価値・満足を創造することで、人々の生活の改善を目指す」ことにある。3P(製品・価格・販促)と1D(流通)をリチャード・クルエットが提唱したが、マーケッティングのキーワードである4P(製品:プロダクト、価格:プライス、流通:プレイス、販促:プロモーション)を言い出したのは、ジェリー・マッカーシーとのことだが、それを企業に広めたのはコトラーのようである。

 コトラーの最初の出版物「マーケッティング・マネジメント」には、
「企業には4つの志向(生産、販売、マーケッティング、社会)があるが、その中で顧客に意識を集中し、ニーズ、考え方、嗜好を理解するマーケッティング志向の必要性を提唱した。自分の製品が社会の繁栄と生活者の幸せにどう影響するかを意識する必要がある。社会の変化と共に新たな概念、理論、実践、事例が、次々に生まれるのがこの学問の特徴とも書かれている。
4Pの活動の前に、S(セグメント)、T(ターゲッティング)、P(ポジショニング)を行うことが大切であるといっている。
 
 ところがマーケッティング担当者がテクニックとして学び、残念ながら、消費者に不要なものまで買わせる手練手管を使うようになった。しかし資源を守るデ・マーケッティングや顧客との関係を倫理観で結ぶことも大切な要素であることを強調している。その効果が発揮されるのは、市民に特定のモノやサービスの消費を抑えるべきだという高潔なコンセンサスが必要とも書いている。
コラムを書いていくうちに、ついつい肉付けを行うことで長文となってしまった。3回シリーズで行う予定であったが、5回シリーズとして継続することにした。