■橋下大阪市長誕生に思う
  
  今、大阪に「大阪維新の会」旋風が巻き起こっている。
 つい先日、大阪府知事と大阪市長のダブル選挙が行われた結果、「大阪維新の会」の
 大阪府知事に松井氏が、大阪市長に橋下氏が圧倒的な強さで、当選した。
 特に、大阪市長選挙においては、民主党、自民党だけでなく共産党までがアンチ橋下で
 徒党を組んだ選挙戦だったにもかかわらず、現職の強みのある平松氏を打ち破った
 わけで、いかに旧態依然とした各政党や政治体制に不信・不満を持っている国民が
 多い事実を突きつけた結果となった。

  選挙戦では、市長選投票率は前回を17・31ポイント上回る60・92%だったことも
 凄いことであるが、分析結果によると、70歳代以上が平松氏を指示する人が多かった
 だけで、他の年代では全て橋下氏の支持が多かったようである。特に30歳代において
 は、70%を越える支持率だったようで、今からの日本を背負っていく年代が、旧態依然
 とした勢力にノーを突きつけたことは、中央政界にも大きなショックを与えたようである。
 おまけに平松氏を支持した政党が、鼻にもかけていなかった大阪都構想に擦り寄り
 始めたことにも、中央政界の不勉強さと日和見主義に、白けた人も多かったのでは
 ないかと考える。




私が非常に不思議に思うことがある。
 橋下氏は大阪府知事時代に、選挙戦で公約したことの7割以上を実行し、現実に赤字財政の黒字化まで 図ったにもかかわらず、選挙戦では詰まらぬ中傷だけが大きく報道されていたことである。ついつい既得権益者が足を引っ張ろうとしたことに、マスコミまでが追随していたようにさえ見える。たかじんの「そこまで言って委員会」で、よくマスコミの堕落を指摘する話があるものの、それを肯定するような事実を目にすると、ガッカリせざるを得ない。

  また評論家が、橋下氏の独裁者としての危険性を指摘したりするが、そのようなことは今の日本の状況においては、起こりえないことだと思う。私が傍から見ているかぎり、中央政界で橋下氏のように「断固として決意」をもって、政治を行っている人はあまり見受けないのが逆に残念である。
 具体的な話をすると、「議員定数の削減」「公務員給与の引き下げ」をやった上での「増税論議」が必要であるのに、「増税論議」だけが取り扱われる意味が分からない。東北大震災及び原発被災者の実情や、日航建て直しにおける政府や官僚の対応を見ているだけに、公務員宿舎がいつの間にか建設着手していた件に関しても、元経産相の幹部であった古賀さんが話しているように、「日本が危機に瀕している中で、高給取りの幹部官僚の宿舎が税金を使って建設するのは、何かズレを感じる。建設中止が当たり前ではないか。」とごもっともな話をしていたが、私も全く同感である。 
  私は中央政界において、政府は公務員制度の抜本改革を公約に掲げていたのに、その最も相応しい
 人材である古賀氏を活用しないこと、具体的に公務員改革に着手しないことを非常に不思議に思って
 いる。いろいろ裏情報が流れていることは知ってはいるが、もしそうだとしたら非常に情けない話である。

  企業においても、長期政権は企業の垢が蓄積し、しがらみやマンネリ化が進行すると言われているが、
 政権が取って代わっても是正されない現実に、国民がノーを突きつけ始めた。
 企業のライン&スタッフ組織において、スタッフが力を持ちすぎると、現場軽視が発生し、企業がおかしく
 なる話があるが、「企業=政府」「ライン=現場」「官僚=スタッフ」と置き換えると、今の日本の実体を
 示していることになるであろう。

  世界的にも、日本的にも、従来の仕組みが機能しなくなっている実情を鑑みると、一度、従来の仕組みを
 壊さない限り、再生は難しいのではないかとの結論に達してしまう。パラダイムシフトが起こっている時代を
 迎え、橋下氏のような存在が、中央政界にも必要ではないかと思っている。
 昨日、都統合本部の最高顧問に境屋太一氏、顧問に古賀茂明氏が就任したとの報道があり、新たな
 仕組みづくりが進むものと期待している。