■ブータン国王夫妻の来日 @
 
   ブータンというと、最近、採り上げられることが多くなった国民総幸福量(GNH)で
 有名な国がある。
 九州とほぼ同じ面積に70万人あまりが暮らす仏教国とのこと。
 インドと中国に国境を接している国で、輪廻転生の考え方が根底にあり「現世で徳を
 積んで、来世でよい人生を過ごす。」とか、共同体・相互扶助の精神を有し「家族・友人
 に幸せでいてもらうことが、自分の幸せに繋がる。」というような考え方は、日本に
 非常に近い感覚・価値感がある国だとは思っていた。
  そのブータン国のまだ若いブータン国王夫妻が、つい先日まで、日本政府の招きで来日
 し、6日間滞在してブータン・ブームを巻き起こしている。
 来日以来、国会演説や被災地訪問、京都訪問など連日、報道がなされているが、そのニュ
 ースを見聞きしていても、清清しい、温かさを感じたのは、私だけではないように思う。
 まだ若い国王の発言・立居振舞いを見ていて、私が小さかった頃に感じていた日本の
 よさを思い出したが、世界中がモノ優先・経済優先に毒されている現代でも、まだそれを
 維持している国があることに、改めて驚くと共に感動すら感じてしまった。
  「自己よりも公益を高く位置づける強い気持ち」とか「名誉と誇り、そして規律を重んじる国民、歴史に
 裏打ちされた誇り高き伝統を持つ国民、不屈の精神、断固たる決意、そして秀でることへ願望を持って
 何事にも取り組む国民。知行合一、兄弟愛や友人との揺るぎない強さと気丈さを併せ持つ国民」とか、
 日本のことを賞賛し、「我々ブータンに暮らす者は、常に日本国民を親愛なる兄弟・姉妹と思っている」と
 語っている。今の日本の現実を思うと、少し恥ずかしい気持ちにならざるを得ない。
  国会演説も全文見てみたが、国王が発している言葉には、何か日本が長年培ってきた大切なものを無く
 してしまい、新たな国づくりを見失っている我々への警告が含まれているように感じてしまった。
 どうも我々は、「みんなが幸せになるために、科学・技術・文化の進展を図り、豊かな生活をつくる。」
 つもりで、「モノ優先・経済優先をすることが幸せに繋がると勘違いをして、大切なものを蔑ろにしてきた
 結果」として、「モノの豊かさを得ることはできたものの、本当の人としての豊かさ、心の豊かさをなくした」
 ことを再認識させられた。
 今回のブータン国王の来日が、日本の新たな国づくりにプラスの影響を与えたことは事実だと考えており、
 共感することも多くあるので、今からの私の社会活動に活かしていきたいと思った次第である。
 熊日新聞朝刊の11月19日「新生面」にこの件が触れられており、以下に転載させていただいた。
  来日した若き国王夫妻の飾らない立ち居振る舞いが、たちまち好感度を
 押し上げたようだ。ヒマラヤ山脈の東端に位置するブータン。九州とほぼ
 同じ面積に70万人あまりが暮らす仏教国である。
 たびたびの報道でおなじみの「国民総幸福量(GNH)」は、先代国王が
 1976年に初めて提唱した。国民総生産(GNP)も大事だが、自然環境
 や伝統文化の保護継承、心の豊かさなどからなる幸福量を、より重ん
 じる国是である。
  法政大学大学院の坂本光司教授らが先にまとめた「都道府県の幸福度調査」は、この
 GNHの日本版。平均寿命や出生率、失業率など4部門の40指標で「幸せ度」をみると、
 一位に輝いたのは福井県だった。次いで2位が富山県、3位石川県と、北陸勢が上位を
 独占した。熊本県は佐賀県と並び全国5位、九州でトップの好位置を占めた。
 「安全・安心部門」では同率首位、「医療健康部門」でも3位。安心で暮らし易い地域の価値が
 再認識されたようで喜ばしい。(「日本で一番幸せな県民」PHP研究所)
  ただ、実感となると、人それぞれかもしれない。東日本に目を転じれば、東北の寒さはこれからが本番
 だ。仮設住宅に降る雪に不安を重ねる人々もいるだろう。幸せ色で塗り分けた日本地図に、点々と落ちた
 暗い影が気になる。
 身近な幸せの青い鳥を見逃すこともあれば、寒い季節のふとした一言に、身も心も温められることもある。
 例えば一昨日の国会。ワンチュク国王が述べた「ブータン人はみなさんと共にある」というような。

  次回、ブータン国王の国会演説全文をご紹介します。