■その他編@
 高齢化日本一をプラス材料に商店街をリニューアル!
「島根は日本一の高齢者県。当商店街の周囲もお年寄りが多く、空き店舗も出ていた。でも悲観してばかりはいられない。高齢化をむしろプラスと捉えよう。トレンディーじゃないか。“お年寄りが活き活き出来るような街づくり”をしよう」そう語るのは、島根県松江市、「松江天神町商店街」の中村理事長。
  確かに島根県の高齢者比率は高い。都道府県別65歳以上人口の割合(平成12年)は24.8%と全国一である。しかも、松江市の中でも天神町商店街のある白潟地区は、同市でも一番お年寄りが多い地区(約29%)だった。同商店街の「お年寄りが活き活き出来る街づくり」への挑戦はここから始まった。

行政の後押しもあった。平成11年に松江市が白潟地区をモデル地区として「お年寄りに優しい街づくり」を提案。これに商店街も賛同して取り組むことになり。商店街の若手メンバーによる「天神町街づくり委員会」が発足、官民一体となっての商店街リニューアル作戦が進められた。
まず、お年寄りの「溜まり場」を設けた。平成11年7月に、市が空き店舗2軒を改装して「ふれあいプラザ(いっぷく亭)」を開設、バス停の前であったことから、お年寄りが一服できる場として評判になった。
信仰の対象も創設した。お年寄りが出かける理由は「買い物」よりも、お墓や神社仏閣への「お参り」であることに着目。8月には、東京・巣鴨の「とげぬき地蔵」の繁盛にならい、白潟天満宮に「おかげ天神」を建立。菅原道真の幼少時代の像を祀り、「ボケ封じのご利益あり」とした。更に、毎月25日の白潟天満宮の縁日に合わせて「天神市」を開催。歩行者天国にして、安心して買い物の出来る環境作りに取り組んだ。各商店も新しい魅力作りに様々な工夫を重ねた。
お年寄りに優しい街づくり、商店街づくりの評判は、市内、県内のみならず、県外、全国にも広がりをみせ、観光バスが立ち寄る「話題のスポット」にまでなった。単純に逆境と捉えず、“順境に置き換える”発想の柔軟さが如何に大切か。「松江天神町商店街」の試みは、そんな示唆に溢れている。