■地方における士業のあり方の変化


  国家資格として弁護士、弁理士、税理士、公認会計士、中小企業診断士など「士」の
 付くものを士業と表現して話を進めたいと思います。
  士業は各分野の専門家であるわけですが、東京や大阪などの首都圏で仕事をして
 いる方もいれば、熊本などの地方県で仕事をしている方もいます。
 ところが首都圏と地方での士業の仕事は、同じ士業であっても大幅に異なると言われて
 います。
  私が中小企業診断士の資格を取ったときも、首都圏であればマーケッティングや生産管理など
 深く専門分野に特化した形での経営コンサル業が成り立つが、
 熊本では「浅く広く何でも屋」でないと継続的に仕事をすることは難しいとの話を聞きました。
 私自身も、そのように思いながら活動をしていました。
  私は熊本県中小企業支援センターのプロジェクトマネージャーになって4年目を迎えています。
 仕事の関係で全国各地の企業や専門家などと話をする機会も多いのですが、
 また熊本の中小企業の社長から聞く話も合わせて考えた場合に、最近では地方の士業のあり方が
 変化してきているのではないかと感じるようになっています。
  私が属している経営コンサルティングの世界においても、地場企業から相談を受ける際に
 「経営分析して方向付けの診断・指導をしてもらっても、具体的にどうすればいいのか分からない
 のであれば、意味がない。」、「成果に繋がらなければ、意味がない。」ような話をよく耳にします。
 また他の士業に関する話がある際も、似たような話を聞くこともあります。

 高度成長期から低成長期に変化していく過程で、
「浅く広く何でも屋」よりは、「具体的な課題解決屋」を
地方の企業も求めるようになってきているといえるのかもしれません。
厳しい経営環境の中で、今からは首都圏の士業であろうが、
地方の士業であろうが、もっと専門性を深めたり高めたりする必要性が
強い時代になってきているのではないかと感じています。

  地方の士業のあり方として、地方の士業の強み(地域密着:地域を肌で感じることができる)
 を活かして地域活動を展開すると共に、その専門性を活かして
 全国活動を展開する士業の方々が活躍する時代が始まっているように思います。
 「どこに住んでいるか」よりも、「何ができるか」が重要視される時代といえるかもしれません。
 私もこのような時代の変化への対応ができるように、努力していきたいと思っている次第です。