■ご縁を大切に F                            
 「ご縁を大切に」シリーズも7回目となり、ライフワークに関する話をすることで、ラッキーセブンで区切りをつけることにする。

 ライフワークについて意識しはじめたのは、平成14年にJANBO活動に参加してからである。
JANBOの星野さんとの縁を得ることで、地域でのビジネスインキュベーション(BI)の大切さを痛感することとなり、終身現役を目指す際のライフワークにしていこうと考えるようになっていった。JANBO活動を通して知り合った早稲田大学大学院の大江教授との縁で、ビジネスゲームを通しての子供の自立化教育の重要性を理解し、更に支援センター活動を通して知り合った電通大の竹内特任教授との縁で、ビジネス支援図書館の推進活動を知ることとなり、自己責任時代の情報収集拠点の必要性を痛感し、いかに地域に落とし込んでいくかを考えながら、ライフワークとして向かう方向が徐々に具体化していった。

星野さん

竹内先生
 現状施策としての「JANBOのBIシステム」に加えて、将来施策としての「小学6年生は10年後の社会人であり、小学生からの自立化教育」と「自己責任時代における情報収集拠点としてのビジネス支援図書館」の推進が私の頭の中でリンクし、「熊本で社会インフラとしてのBIシステムを構築する」ことを描くようになり、それぞれの要素実現に向けてチャレンジを始めた次第である。BIシステムやビジネス支援図書館については、ダイナミックに動いているが、子供の自立化教育のところが、手掛けることにチャレンジはしたものの、今のところは手が回っていない状況にあり、残念に思っている。

星崎さん
 平成17年に還暦を迎えたことを契機に、「社会インフラとしてのBIシステム構築」に特化した活動に集中する計画であったが、時を同じくして新連携事業に絡むこととなり、結果的には軌道修正して取り組まざるを得なくなった。
 新連携事業に絡むことで、イーバンク副社長の星崎さんとの縁を得ることができ、また企業発掘・ブラッシュアップ・フォローアップ支援を実践していく中で、さらに新たな課題を認識するようになったが、自分自身では非常によかったと思っている。
 日本は道州制に向かって動いており、また九州新幹線開通により、九州の中の熊本を論じる際、「熊本は通過点」になるような発想が蔓延していることに気付いた。私は「熊本は九州のヘソ」であり、そのような考え方をベースにした施策を講じて、九州の中心地になって欲しいとの「思い」も強くなっていった。そのために今から熊本に必要なことは、「熊本から発信できる人材」を育成することである。私はビジネスの世界で仕事をしてきたこともあり、「熊本から発信できるビジネス支援人材」「熊本から発信できる経営者」を育成する仕組みづくりを残すことが重要なこととしてあることを実感した。

 脱サラして、今の仕事をやっていく中で、熊本は内向き思考の傾向が強く、ベテランの経営者やベテランのビジネス支援人材が、いかに聞く耳を持たないかということを、痛切に感じている。また本人が学ぶ気持ちがないのであれば、どんなに教えても意味がないこともあわせて実感した。教育・人材育成に関する書籍もいろいろ調べてみたが、人を育てるということはなかなか難しいことであることを実感し、大いに悩み、解決策を模索してきた。 そこで得た結論が、大人の教育とは「気付き」の教育であるということであった。また人は経験が豊富になるに従い、「新たな気付き」を得ることがなかなか難しいことであることも分かった。
 そこで、現在の地域診断士研究会、共育塾を立ち上げる際には、「気付き教育の場=相互研鑽の場」をつくることが大切だと考えて、システムづくりを行うこととした。「相互研鑽の場」=「全員集合・実践勉強の場(定期塾)」+「常時交流の場(メーリングリスト)」+「外部刺激の場(ゲストとの会食懇談)」というシステムである。

 
キックオフミーティング    ゲストと会食懇談
 
 定期塾       ビジネス支援図書館
 地域診断士研究会も3年目を迎え、今やっていることの価値を認識するようになり、共育塾も1期生・2期生とも、「相互研鑽の場づくり」がきで、「熊本から発信できるビジネス支援人材」「熊本から発信できる経営者」が生まれ始めていることを実感しているところである。
 地域診断士研究会では、自主勉強会に加えて、ビジネス支援図書館での起業・経営相談会へのボランティア参加・運営、共育塾の定期塾講師、セミナー企画など活動範囲も広がりつつある。
 共育塾生も塾生活動を通して、経営者としての基礎づくりを行うと共に、各種の取材、テレビ放映、中国出向・出張、パネラー参加など、ご縁の大切さを実感してくれており、嬉しい限りである。彼等との縁も、今からの私にとっては大きな財産であると共に、熊本にとっても大きな財産となると確信している。

 夢は広がっていくばかりであるが、最後に整理をしておきたい。
私の現在のライフワークとして考えていることは、熊本で「社会インフラとしてのBIシステムを構築する」ことと、「自ら発信できる起業支援人材、経営者の育成システムを構築する」ことに変化・成長・発展してきたことになる。
 いずれのテーマも、短期間でシステム構築ができることではないので、その先鞭をつけ、それらの活動を変化・成長・発展させることは、次世代のメンバーに託すことであると考えて、地道な活動を進めていくことにしている。勿論、システムの構築過程で、時代の変化に合わせたシステムづくりを期待しているところである。


 オフィスチェイカスの名刺には、「ともに人づくり/企業づくり/社会づくりを!」と書くようにしたが、私はビジネスインキュベーションを含んだ「地域社会・地域経済の活性化」を推進していく役割を担いたいと考えている。
           
 私の脱サラ人生に関して、多くのご縁のおかげで、今の私が成り立っていることを、7回にわたって紹介したわけだが、「ご縁に感謝!」という言葉で、しめくくらせていただきたい。
感謝!!