■ご縁を大切に D
 県支援センターPMと同じくらい忘れてならないことに、JANBOのインキュベーションマネージャー(以下IMと称す)のことがある。

 県支援センターのPMとして創業・経営革新支援を進めていく際に、経営革新支援については診断士の活動の中で対応力を付けてきたが、創業支援に関しては今まで経験をしたことがなく、新たに学ぶ必要性を感じていた。行政の仕事は縦割りになっており、私が携わっている支援センター事業ではない、プラットフォーム事業の枠の中でIM養成研修が行われていることを知ることができた。そこで県のプラットフォーム事業担当の三浦さんにIM養成研修を受講したい旨を伝えたところ、快く翌年の予算に組み込んでいただいた。三浦さんとの縁がIM養成研修に参加できるきっかけとなり、心より感謝している。
 早速、JANBO・IM養成研修の推進責任者である星野さんに、IM養成研修の受講を希望する旨を伝え、繰り返しの連絡を取ることで、ようやく研修参加の許可をいただくことができ、ワクワク感を持って研修に参加したことをはっきりと憶えている。私はJANBOの自主事業でのIM養成研修3期生であり、その頃は1回の受講生が10数人と少数での研修であり、私は九州からの初めての参加者となった。星野さんとの縁で、私のネットワークも大きく広がったことになる。

 
 日本工業大学の産学リエゾンセンター・増田教授が星野さんに「現場の泥臭い支援をやっているIMを紹介して欲しい」との話があった時に、ありがたいことに私を紹介いただいたことで、東京工大・百年記念館でサイエンスパーク研究会でプレゼンテーションをする機会を得ることができた。
 また、北九州で開催された国際ビジネスインキュベーション・シンポジウムの中で、国際的なパネルディスカッションが行われ、NBIAのダイアナ・アトキンス会長がコーディネータ、パネラーとしてアメリカのチャック・ウルフ氏や韓国のキム・ホン教授などと一緒に参加した。滅多に経験できない同時通訳による国際的なパネルディスカッションに参加できたことは、非常に印象深い経験であった。
 JANBOでの仕事を通して、ベンチャーキッズスクールのことも知り、そのパイオニアである早稲田大学・大江教授、それに教え子のセルフウィング・平井社長との縁も得ることができた。
 熊本でのIM活動として最も印象深いことは、県の小山さん(経産省からの出向)、三浦さんと一緒に、熊本初のビジネスインキュベーション施設「夢挑戦プラザ21」を企画し実現することができたことである。当時は旧免許センター跡地に設置されたが、星野氏から「日本で最も金をかけないで作った施設」とお褒めの言葉もいただいた。(現在はテクノ産業財団内・旧電応研施設に移転)
 また私が支援センターPMを卒業し、熊本県の地域IM活動に特化していく際に、星野さんに名付けていただいた「日本初のリージョンIM」になったことも印象深いことである。しかし熊本でのソーシャルアントレプレナーを目指したものの、なかなか思うようにはいかなかったことに大きな反省を感じている。
 JANBO−IMの認定制度ができる際にも、島屋BIの農本所長、高知工科大の竹内IMと私の3人だけが、制度発足に際しての「JANBO−Senior IM」(終身認定)となり、認定制度発足時の審査委員になったことも、私にとっては印象深い出来事の一つである。

 九州BIP(ビジネスインキュベーション・プラザ)活動に関しても、述べておきたい。
 平成15年に九州経済産業局から大分の安部氏、長崎の櫻木氏と私の3人に声がかかり企画立案の議論を重ねて、2月にBIP研究会が発足した。当初は産学連携を含めた幅広い起業支援人材の場として企画したが、研究会段階での話し合いの中で立ち位置の違いなども顕在化し、最終的には先ずJANBO・IMの切磋琢磨の場として九州BIPがスタートすることとなった。その後10数回のワークショップを開いてきたが、最近では大分の安部さんのリードの下、実践的IM人材育成を意識したBIPイノベーション支援研究会の発足もしている。
 今年に入ってから、JANBOの役割終焉の話に連動して、星野さんの「思い」のこもったJBIA(民間組織)が発足したので、側面協力を行っていきたい。
 全国のIM人材、特に九州のIM人材との縁は素晴らしいものがあり、今後も長い交流を行っていくと考えている。九州の次世代を担うコアメンバーである安部さん、櫻木さんには九州BIPの変化・成長・発展に、更なる尽力をしてもらいたいと思っている。