■アフターコロナのコミュニケーション
NHKクローズアップ現代で、「アフターコロナ 人に会うのがツラい~科学で解明!心の異変」の放映を観て、非常に共感するものを感じた。
アフターコロナ 人に会うのがツラい ~科学で解明!心の異変~ - NHKスペシャル - NHK
コロナ禍の3年間が、人間社会に与えた影響(脳と心)について、日本や米国で科学的分析を素に実証分析したものである。
2023年5月8日に国が新型コロナウイルス感染症の位置づけを【5類相当】に移行。まだウイルスのリスクがなくなったわけではないものの、マスク着用は個人判断とされ、行動制限もなくなるなど、社会は一気に賑わいを取り戻し始めている。
しかし、この3年間。人並みの途絶えた街、マスクで覆い隠された表情、人と話せるのはリモートの画面越し・・・私たちのコミュニケーションの形は、かつてないくらい大変化していた。そんなコロナ禍で世界的にわき起こったのが“心の異変”である。
人間は原始時代から弱い動物であり、集団で敵に立ち向かうことで、生き残ってきた。従って本能的に「一人でいると不安で怖い」、いわゆる群れる動物である。
しかし今回のコロナ禍の3年間で、群れることが許されない社会環境に遭遇した。具体的に言うと「密閉禁止・密集禁止・密接禁止」の3密禁止社会である。
その象徴的なこと(①~③)が人に与える影響を、科学的社会的実験により解明されたので、以下に述べておく。
3密を避ける社会生活:その結果、多くの人々が孤立に敏感になった。いわゆる社会的孤立を強く感じるようになった。 ⇒「高校生の将来への不安・ビッグ2が人間関係(日赤アンケート調査)」「10時間の孤立状態後の脳の反応(MIT実証実験)」「ネスミの群れから引き離す実験(MS医科大実証実験)」「孤立感なしVS孤立感高い人の脳反応の違い」などの根拠事例を紹介。
② マスク着用:その結果、口元を隠すことで相手の感情が想像できなくなった。いわゆるコミュニケーション時の不安要因が増加した。 ⇒マスク有無による感情読み取り正答率の変化(米国大学)で、マスクありの場合に「怒りや笑顔」は読み取れるが、「恐怖や嫌悪」は読み取り難いことがわかった。
③ オンライン対話の多用:感情の同期現象(共感)がなくなった
「コミュニケーションが大変化」している。 ⇒対面対話とリモート対話の実験で脳活動の同期現象(共感/共鳴)に大きな差が出てしまった。前者では「感情コミュニケーション(六感交流)」があるが、後者では「情報コミュニケーション(画像・音声情報交流)」しか起こらなかった。(東北大学)
いつのまにか、我々はコロナ社会に順応してしまい、行動制限がなくなった今、コミュニケーションの変化に即順応できずに、違和感を感じているのが実情である。
チャットGPTの登場によるテクノロジーの大変化も起こっており、今からの新しい社会にどのように順応していくか、大きな課題を抱えているように思う。
番組では、若者たちの心の健康の悪化が問題となっているアメリカでは今、全国的に導入が進んでいる新しい教育の取り組みがあります。その名は「SEL(社会感情学習)」。まさに「感情のコミュニケーション」を学ぶカリキュラムです。
日本でもリモート勤務の弊害対応に新たな取組も紹介されていました。
今からの社会でのコミュニケーションのあり方は、大きなテーマだと感じました。